電話

072-339-4385

メール

info@yorkshire.jp

営業時間

9:00 – 18:00

●ワンちゃんはにおいの世界に生きている

高齢のワンちゃんが増え、白内障などで視力を失うワンちゃんは少なくありませんが、ワンちゃん自身はあまり不自由を感じていません。
室内でも何かにぶつかったりすることもありますが、普段と変わらず暮らしています。
人だったらどうでしょうか。
一歩足を踏み出すことさえ驚躇してしまうでしょう。。
ワンちゃんはにおいの世界に生き、人は目で見る世界に生きています。
警察犬や麻薬探知犬などの活躍は知っていても、においは目に見えず、人の嗅覚はワンちゃんほど優れていないために、私たちはワンちゃんの世界をなかなか理解できないのです。

●ワンちゃんの鼻

・鼻鏡 びきょう
鼻の頭の毛のない部分です。
汗や皮脂などの分泌液で湿っており、表面に細かい溝があるため、におい分子をキャッチして長時間留めたり、空気やにおいの流れを感知したりするのに役立っています。
・外鼻孔 がいびこう
鼻の穴のことです。
人や馬などのほとんどの哺乳動物の鼻の穴と異なり、横に切れ目があるのが特徴です。
横の空気を吸い込んで広い範囲のにおいを嗅いだり、正面から空気を吸い込んだときに鼻腔内に残っている空気を吐き出したりできると考えられます。
・上唇溝 じょうしんこう
鼻の中央から口に続く縦一直線の溝のことです。
毛細管現象によって口の中の水分が常に引きあげられ、鼻鏡を湿らすのに役立っていると考えられています。

●鼻の表面でにおいをキャッチ

においは「分子」の形で空気中に浮遊しており、ワンちゃんは鼻の穴で吸い込んだり、鼻の頭(鼻鏡)でにおい分子をキャッチしています。
ワンちゃんの鼻の頭が濡れているのはにおい分子を吸着しやすくするためで、表面が凸凹しているのも、細かい溝にすることによって表面積を拡げて、におい分子を多く吸着させるのに役立っていると考えられます。
ワンちゃんがよく自分の鼻を舐めるのも、鼻鏡を濡らして嗅覚の感度を高めているのかもしれません。
ワンちゃんだけでなく、猫、鹿、牛、熊などのにおいに敏感な動物の鼻の頭は皆湿っているのです。

●鼻の中でにおいを感知


におい分子は、鼻の穴(外鼻孔)を通つて鼻の中(影腔)に送り込まれ、鼻腔の奥にある嗅粘膜(嗅上皮)まで到達し、
嗅粘膜に届いたにおい分子の情報は、繊毛を通して嗅覚細胞に伝わり、電気信号に変換されて嗅神経を通じて脳へ伝達します。
一般にワンちゃんの嗅覚は人の100万〜1億倍も優れているといわれていますが、その驚異的な嗅覚の秘密は嗅粘膜の広さや嗅覚細胞の数にあると考えられます。
人の嗅粘膜は小さな切手1枚分ほどの大きさで、嗅覚細胞の数は500万ほどしかありませんが、ワンちゃんの嗅粘膜は人の10〜50倍の面積があり、嗅覚細胞の数も2億2000万にも上るとされます。
嗅覚細胞は特定のにおいに反応すると考えられており、嗅覚細胞の数が多い分、ワンちゃんは何億もの種類のにおいを嗅ぎ分けることができ、100万分の1という濃度のにおいも感知できます。

●ワンちゃん同士のコミュニケーションに重要なフェロモン
ワンちゃんには、鼻のほかにもう一つ大切な嗅覚器があります。
フェロモンを感じ取る鋤鳥器(ヤコブソン器官ともいう)という器官で、上あごの姗歯(門歯)の裏側に鋤鼻器につながる穴です。
ワンちゃんのほか、多くの哺乳類、ヘビ、両生類などにもありますが、人は退化して口蓋の穴もなくなってしまったと言われていまフェロモンというのは、同種のほかの個体に特定の行動をするよう働きかける化学物質で、においとしてではなく、無意識的に感知されています。
フェロモンにはいくつかの種類がありますが、ワンちゃんの場合は、発情中か妊娠中かなどの繁殖行動にかかわる情報がお尻周辺から発せられる性フェロモンが主に知られてます。

●「記憶力」と「コミュニケーション力」がワンちゃんの「嗅覚」を最大限に生かす
人は古くからワンちゃんの持つ能力を認め、狩猟や警護、牧畜などに犬の優れた嗅覚を役立てていました。
現在もワンちゃんの類いまれな嗅覚は、警察犬、麻薬探知犬、災害救助犬などに生かされているのです。
ワンちゃんのように優れた嗅覚をもつ動物はほかにもいますが、ワンちゃんだけがこのような活躍を見せているのは、ワンちゃんの能力が嗅覚だけではないからなのです。
ワンちゃんならではの能力のひとつに「記憶力」があり、
ワンちゃんの記憶力はさまざまな場面で発揮されますが、特筆すべきは、一度嗅いだにおいを記憶しているというのです。。
警察犬が犯人の後を追えるのは、高度な訓練によって、犯人のにおいを一時的に記憶できるからで、人と共に作業をすることに長けているワンちゃんだけの能力で、
このような人との「コミュニケーション力」は、ワンちゃんだけがもつ能力です。
訓練により、人に麻薬の有無や、被災地で人の居場所を教えることもできます。
どんなに嗅覚が優れていても、ワンちゃんに記憶力やコミュニケーション力がなければ、その能力を人が利用することはできないのです。

Follow Me!