ブリーダーは子犬の選択眼に大いに自信を持っているようです。中には胎子が生まれ出た瞬間が一番よく分かるものだ、と豪語する人もあります。もしそれが真実なら、そのブリーダーはユリゲラー的存在であり、念力とやらが可能か、または霊感の鋭い人でしょう。精子と卵子が結合して胎子となった頃は、象も頼も犬も一見して識別することはできません。胎子が発育するにつれて、それが犬科の動物であることが判明し、やがて家犬であることが分かってきます。しかし、それが類似犬種である場合は分娩後においても識別を誤る場合もあるでしょう。にもかかわらず子犬の将来性を判定することが可能だとしたら正に神業としか思えません。
初心者が子犬を選ぶ場合は、握ってみて弾力のある個体を第一条件とすべきでしょう。弾力のある子犬はまず健康であり、性格も明朗で、食欲の旺盛な、心身ともに活動的な大質であることを証明しているからです。もし子犬が乳離れしていない場合なら、頭に力のある犬を選ぶことが肝要で、それは首や体に力がある弾力的な体質だといえます。
母犬の乳房を奪い合う子犬は、分泌量の豊富な乳頭を、他の同胎犬を押しのけていつも勝利者となるのです。
